「VRを始めてみたいけど、種類が多くてどれを選べばいいかわからない」
「最新のQuest 3Sと、上位版のQuest 3、価格差ほどの違いはあるの？」
そんな悩みを抱えていませんか？
Apple Vision Proの登場で一気に注目度が上がった「空間コンピューティング（MR/VR）」。
その市場を牽引しているのがMeta Questシリーズです。
結論から申し上げますと、「コスパ重視で初めてVR/MR体験をするならMeta Quest 3S」、「映像美と没入感、目の疲れにくさを妥協したくないならMeta Quest 3」が最適な選択肢となります。
特にQuest 3Sは、約4万8000円という衝撃的な価格で登場し、VRの常識を覆しました。
しかし、約2万6000円高い「Quest 3」には、プロから見ても「価格差以上の決定的な違い」が存在します。
この記事では、大手Webメディアでガジェット記事を執筆する私が、Meta Quest 3SとQuest 3の具体的な違いを徹底的に比較・解説します。
安い買い物ではないからこそ、あなたのVRライフを後悔のないものにするため、ぜひ最後までお読みください。
▼Meta Quest 3S
▼Meta Quest 3
Meta Quest 3SとMeta Quest 3の違いを比較Meta Quest 3SとMeta Quest 3の違いを比較
Meta Quest 3SとMeta Quest 3は、どちらも「Snapdragon XR2 Gen 2」という同じ高性能チップセットを搭載しており、処理能力自体は同等です。
しかし、「レンズの品質」と「解像度」に大きな違いがあり、これが体験の質を大きく左右します。
まずは、主要なスペックの違いを表で確認してみましょう。
比較スペック表
| 比較項目 | Meta Quest 3S (A) | Meta Quest 3 (B) |
| 価格 (128GB) | 48,400円 | 74,800円 |
| チップセット | Snapdragon XR2 Gen 2 | Snapdragon XR2 Gen 2 |
| レンズ | フレネルレンズ | パンケーキレンズ |
| ディスプレイ解像度 | 1832 x 1920 (片目) | 2064 x 2208 (片目) |
| 視野角 | 水平96度 / 垂直90度 | 水平110度 / 垂直96度 |
| カラーパススルー | 対応 (400万画素 x2) | 対応 (400万画素 x2) |
| 深度センサー | なし (IR投光器で代用) | あり |
| IPD (瞳孔間距離) | 3段階調整 | 無段階調整 |
| バッテリー持ち | 最大2.5時間 | 最大2.2時間 |
| 本体の厚み | 厚い (Quest 2に近い) | 薄型設計 |
1. レンズと見え方の決定的な違い
最大の違いは「レンズ」です。
Quest 3Sは、従来のQuest 2と同じ「フレネルレンズ」を採用しています。
同心円状の溝があるレンズで、周辺部が少し滲んだり、光の反射（ゴッドレイ）が気になったりすることがあります。
一方、Quest 3は最新の「パンケーキレンズ」を採用。
こちらは端から端までクッキリ見え、歪みがほとんどありません。
「メガネを通して世界を見る」感覚に近いのがQuest 3S、「肉眼でそのまま世界が広がっている」感覚に近いのがQuest 3と言えます。
2. 解像度と視野角の差
Quest 3は「4K Infinite Display」と呼ばれる高解像度パネルを搭載しており、Quest 3Sよりも約30%高精細です。
文字を読む際や、遠くの景色を見る際の鮮明さに大きな差が出ます。
また、視野角（見える範囲）もQuest 3の方が広いため、双眼鏡を覗いているような感覚（閉塞感）が軽減されています。
3. 本体の厚みと装着感
パンケーキレンズを採用したQuest 3は、光学部分を薄くできるため、バイザー部分が非常にスリムです。
対してQuest 3Sは厚みがあり、重心が前方にあるため、長時間つけていると頬への圧迫感を少し強く感じるかもしれません。
Meta Quest 3SとMeta Quest 3の違いを比較
どちらのモデルを選ぶべきか、あなたの予算とVRで「何をしたいか」によって最適な選択肢は変わってきます。
数多くのVR機器を触ってきた経験から、それぞれのモデルをおすすめする人を明確にします。
Meta Quest 3Sがおすすめの人
- とにかく安く最新のMR体験を始めたい人Quest 3と同じチップを搭載しながら、価格は2万円以上も安いのが最大の魅力。「まずは試してみたい」というエントリーユーザーには最適解です。
- フィットネスや軽いゲームが中心の人『Beat Saber』や『FitXR』など、体を動かすゲームがメインであれば、画質の差はそこまで気になりません。むしろバッテリー持ちが少し良いため、運動には向いています。
- Quest 2からの買い替えを検討している人Quest 2と同じレンズですが、カラーパススルー（周囲が見える機能）は劇的に進化しています。「Quest 2の画質で不満はないけど、MR機能を使いたい」という方におすすめです。
Meta Quest 3がおすすめの人
- 映像美と没入感を最優先したい人パンケーキレンズによるクリアな視界は、一度体験すると戻れません。映画鑑賞や、グラフィック重視のゲーム（『Asgard’s Wrath 2』など）を楽しみたいならこちら一択です。
- VRで仕事をしたり、ブラウザを見たりしたい人解像度が高いため、PC画面をバーチャル空間に表示させても文字が滲みません。マルチモニター環境を構築したいビジネスユースの方はQuest 3を選ぶべきです。
- VR酔いが心配な人視野角が広く、レンズの歪みが少ないことは、VR酔いの軽減にも繋がります。三半規管が敏感な方は、より自然な見え方をするQuest 3の方が安心です。
- IPD（目の幅）調整に敏感な人Quest 3はダイヤルで無段階に調整できますが、3Sは3段階のみ。自分の目の幅にピッタリ合わせられるかで、目の疲れにくさが変わります。
Meta Quest 3Sの特徴メリット・デメリット
2024年に登場した「価格破壊モデル」であるMeta Quest 3Sは、VR普及の起爆剤となるポテンシャルを秘めています。
Meta Quest 3Sのメリット
- 圧倒的なコストパフォーマンス約4万8000円で、現在のハイエンド機と同じ処理能力を持つVRヘッドセットが手に入るのは驚異的です。他社の同性能機種と比較しても、価格競争力はずば抜けています。
- Quest 3と同じMR体験が可能ボタン一つで現実世界をカラーで見られる「パススルー」機能は、Quest 3と同等の品質。部屋の中にゲームのキャラクターを登場させるMR（複合現実）体験を、この価格で楽しめます。
- 暗所でのハンドトラッキング性能実は、Quest 3Sには「IRイルミネーター（赤外線投光器）」が搭載されており、真っ暗な部屋でもハンドトラッキングがある程度機能します。これはQuest 3にはない独自の強みです。
- 既存のQuest 2アクセサリーが一部使える「眼鏡スペーサー」など、フェイス周りの一部パーツはQuest 2と互換性がある場合があります（要確認）。
Meta Quest 3Sのデメリット
- フレネルレンズ特有の「滲み」レンズの中心（スイートスポット）から視線が外れると、映像がボヤけやすくなります。また、暗い背景に明るい文字が出ると、光の筋が見えることがあります。
- 解像度がQuest 2据え置きチップ性能は上がりましたが、パネル解像度はQuest 2と同じです。4K動画などを再生しても、その真価を100%発揮できない場合があります。
- 3段階のIPD調整目の幅調整が3段階しかないため、自分の目に完全にフィットしない場合、映像が二重に見えたり疲れやすくなったりするリスクがあります。
Meta Quest 3の特徴メリット・デメリット
Meta Quest 3は、現時点でのコンシューマー向けスタンドアローンVRにおける「最高傑作」と言える完成度を誇ります。
Meta Quest 3のメリット
- パンケーキレンズによる「視界の革命」従来のVRゴーグルにあった「レンズの曇り」や「端のボヤけ」が劇的に解消されています。視界の隅々までクリアに見えるため、目の前の世界に本当にいるかのような錯覚（プレゼンス）が段違いです。
- 高精細な4K Infinite Display網目感（スクリーンドア効果）がほとんどなく、実写映像やPCのデスクトップ画面も非常に綺麗に表示されます。読書やブラウジングもストレスなくこなせます。
- スリムで重心バランスが良い本体が薄型化されたことで、顔の前方にかかる重さが軽減されています。首への負担が少なく、長時間のプレイでも快適性が維持されます。
- 深度センサーによる正確な空間認識Quest 3には深度センサーが搭載されており、部屋の形状を自動で正確にスキャンします。メッシュ生成（空間のマッピング）が3Sよりも高速かつ正確です。
Meta Quest 3のデメリット
- 価格が高い7万円台後半という価格は、ゲーム機としては高額な部類に入ります。PS5が買えてしまう値段なので、購入には勇気が必要です。
- バッテリー持ちが少し短い高解像度ディスプレイと強力な処理を行っているため、バッテリーの減りは早めです。長時間プレイには、別売りのバッテリー付きストラップがほぼ必須と言えます。
まとめ：あなたの使い方に合わせて選ぶのがベスト
Meta Quest 3SとMeta Quest 3は、どちらも素晴らしいVR/MRデバイスですが、ターゲット層は明確に分かれています。
「予算を抑えつつ、話題のMRやVRゲームをサクサク楽しみたい」
「子供へのプレゼントや、フィットネス目的でラフに使いたい」
そんなあなたは、コスパ最強のMeta Quest 3Sを選んで、浮いた予算でゲームソフトを数本買うのが賢明です。
一方で、
「映像の美しさにこだわりたい」
「映画館のような視聴体験を自宅で得たい」
「3年以上、長く愛用できる最高スペックのマシンが欲しい」
そう考えるなら、迷わずMeta Quest 3を選ぶべきです。
特にレンズの違いによる「視界のクリアさ」は、後から買い足すことができない重要な要素です。
毎日使うスマートフォンと同じで、VRゴーグルも「見え方」の質が満足度に直結します。
もし予算が許すのであれば、私はMeta Quest 3を強くおすすめします。
あの「パンケーキレンズ」を通したクリアな視界体験は、あなたのエンターテインメント生活を劇的に変えてくれるはずです。
この記事が、あなたの新しい世界への扉を開く手助けになれば幸いです。
▼Meta Quest 3S
▼Meta Quest 3
